きまブログ

2022-12から再開しました。

ゴーゴリ「鼻・外套・査察官」

手に取ったきっかけは,押井守監督の「イノセンス」に出てくるセリフ。

「自分の面が曲がっているに鏡を責めてなんになる。」

これは「査察官」の扉に掲げられた言葉でした。


鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)

鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)


3つの作品は全編,落語調で訳されている。


1つ目の「鼻」は,
そもそも荒唐無稽な話であることと,読み慣れない落語調だったため,取っつきにくかった。


それに対しては,巻末の訳者解説に,落語「あたま山」を引き合いに出して,
落語との親和性について書かれてあり,なるほど。と感じた。


   このシリーズ光文社古典新訳文庫は数冊持っているが,
   すべてに共通して言えることは,あとがき・解説がとても秀逸なこと。


2つめの「外套」は,長い名前が頻繁に出てきて読みにくかった。。。


3つめの「査察官」は,
劇の脚本をそのまま訳されており,地の文がないせいか,
落語調をあまり感じず,違和感なく読めた。


読んでいる時に,水戸黄門のこんなエピソードを思い出した。

(内容はだいたいこんな感じ)
悪さをしている代官と商人のもとに
水戸黄門がやってくる。という情報が入る。


悪者たちは,城下にいた水戸黄門らしき一行を見つけ,
接待し穏便に済まそうとする。


(間違えられた)水戸黄門一行は,
ばれる前に旅籠を抜け出そうとするが,弥七にみつかる。
本物の水戸黄門は,彼らを利用し,悪を裁く。

結末は違うが,もしやこのエピソードは,
「査察官」をベースにしているのでは?と思えてしまう。


総じて,前半2つの話は,そんなにおもしろいとは感じなかったが,
「査察官」と解説はおもしろく読めた。