(若干,LaTeX的な記述になってます。)
「エコ」という言葉と共に,消費電力の削減量をCO_2に換算したものをよく見かけるようになりましたが,
どうやって換算しているのか?
まず,題材として,以下のニュース。
二酸化炭素の排出量についてのサンプル
ニュース - 日本生命、データセンターの空調電力を24%削減:ITpro
このニュースによると,
「年間の削減量は約172万kWh、CO2換算で約610トンとなる模様。」とあります。
つまり「1,720,000 kWh」 という電力量は「610,000 kg」のCO_2排出量と同等ということで,
ここから,0.3546.. kg / kWh という換算率(排出係数というらしい)が逆算できます。
この数字は,以下のプレスリリースの脚注にありました。
http://www.nissay.co.jp/news/2010/pdf/20100611.pdf(日本生命:データセンターの消費電力削減について - pdf)
この値の数値の根拠は,環境省_平成20年度の電気事業者別実排出係数・調整後排出係数等の公表について(お知らせ)から得られます。
2008年度の関西電力の実排出係数。なるものらしい。
ちなみに,この実排出係数の表の下には,調整後排出係数というものがあり,
何を調整した物かというと,取得した排出権(クレジット)などを加味したものらしいですが,
換算には実排出係数を使っています。
二酸化炭素 CO_2の質量を体積へ換算する。
では,610トンってどのくらいなのか?
CO_2の質量数(〜分子量)は,44。つまり,CO_2 は 44 g/mol ということ。
※ 炭素 C:6+6 = 12, 酸素(8+8)*2 = 32
CO_2 が理想気体(少なくとも0℃,1atm付近では...)だと,1 molの体積は 22.4 l となる。
ここから,
気体のCO_2 は,44 g / 22.4 l = 1.96 g/l → 1.96kg/m^3 もしくは, 0.510 m^3/kg
すると,610トンのCO_2の体積は,
610,000 kg * 0.510 m^3/kg = 311,100 m^3 = (67.76 m)^3
となります。
体積の比較として,ドーム球場の高さはだいたい60m〜70mくらい。
ホームベースから両翼のフェンスまでが100mなので,
ホームベースを1つの頂点とした,幅が外野の手前くらい,高さが屋根の天辺くらいまで。の立方体。
分の,100%ピュアなCO_2を削減した。ということになりますね。
610トンと聞いたときに比べると,体積的は,そんな大きくない感じがします。
気体って意外と重いようです。