きまブログ

2022-12から再開しました。

【調べたことの備忘録】CO2排出量の換算について。

(若干,LaTeX的な記述になってます。)


「エコ」という言葉と共に,消費電力の削減量をCO_2に換算したものをよく見かけるようになりましたが,
どうやって換算しているのか?
まず,題材として,以下のニュース。

二酸化炭素の排出量についてのサンプル

ニュース - 日本生命、データセンターの空調電力を24%削減:ITpro
このニュースによると,
「年間の削減量は約172万kWh、CO2換算で約610トンとなる模様。」とあります。
つまり「1,720,000 kWh」 という電力量は「610,000 kg」のCO_2排出量と同等ということで,
ここから,0.3546.. kg / kWh という換算率(排出係数というらしい)が逆算できます。


この数字は,以下のプレスリリースの脚注にありました。
http://www.nissay.co.jp/news/2010/pdf/20100611.pdf(日本生命:データセンターの消費電力削減について - pdf)
この値の数値の根拠は,環境省_平成20年度の電気事業者別実排出係数・調整後排出係数等の公表について(お知らせ)から得られます。
2008年度の関西電力の実排出係数。なるものらしい。


ちなみに,この実排出係数の表の下には,調整後排出係数というものがあり,
何を調整した物かというと,取得した排出権(クレジット)などを加味したものらしいですが,
換算には実排出係数を使っています。

二酸化炭素 CO_2の質量を体積へ換算する。

では,610トンってどのくらいなのか?


CO_2の質量数(〜分子量)は,44。つまり,CO_2 は 44 g/mol ということ。
※ 炭素 C:6+6 = 12, 酸素(8+8)*2 = 32


CO_2 が理想気体(少なくとも0℃,1atm付近では...)だと,1 molの体積は 22.4 l となる。
ここから,

気体のCO_2 は,44 g / 22.4 l = 1.96 g/l → 1.96kg/m^3 もしくは, 0.510 m^3/kg

すると,610トンのCO_2の体積は,

610,000 kg * 0.510 m^3/kg = 311,100 m^3 = (67.76 m)^3

となります。


体積の比較として,ドーム球場の高さはだいたい60m〜70mくらい。
ホームベースから両翼のフェンスまでが100mなので,
ホームベースを1つの頂点とした,幅が外野の手前くらい,高さが屋根の天辺くらいまで。の立方体。
分の,100%ピュアなCO_2を削減した。ということになりますね。


610トンと聞いたときに比べると,体積的は,そんな大きくない感じがします。
気体って意外と重いようです。

現実的なイメージへ。

ただ,100%ピュアなCO_2というのは,イメージしにくいので,
以下の換算もしてみました。


大気組成的には,CO_2の濃度は0.04%程度(wikipedia)なので,
311,000 m^3 分の100%ピュアCO_2が含まれる空気の体積は,

311,000 m^3 / 0.00038 = 818,421,052 m^3 = (935.4 m)^3

となります。
おおむね1kmの立方体となりました。


計算違いがありましたら,ご指摘ください。。