この本は、ボクがまだ若かった頃、新書でベストセラーになった本。
初版は1992なので、高校生だった。
前半:アロメトリー
前半のテーマは「アロメトリー」という考え方。
アロメトリー - Wikipedia
この言葉自体には、馴染みはないけれど、
これ、健康診断でお目にかかる「BMI」も、この考え方に沿っているらしい。
文中には、アロメトリーを論ずるにあたり、乗数の計算。というものが頻繁に登場する。
4/3乗とか。-1/4乗とか。。
これが結構ややっこしい。前半の肝でもあるが、わかりにくい。
この本自体は、理論→現実を検証しているのではなく、
現実→理論の検証・推定をしていて、
また、野生動物の身体測定。。
という「個体差があったり、定量的でないデータ」をベースに
検討せざるをえないため、かなりザックリな傾向を分析している。
中高の時に習ったように、答えが「ピッタリ」になるわけではないため、
「おや?こんなんで科学なの?」と思う方も多いのではないかと思った。
まぁ、実験をすれば、重力加速度を実験から算出しようとしても、値はパラパラするもので。。
実測が、3/4乗がフィットするのか2/3乗がフィットするのか?
という議論はとても面白いと思った。
後半:植物・昆虫・棘皮動物
後半は、哺乳類以外の植物・昆虫・(筆者のご専門)棘皮動物
それぞれの「サイズ」と折り合いを付けたサバイバル手法が紹介されている。
流体力学と生物のサバイバル手法のあたりはとてもおもしろく、
動植物の進化というのは、本当に長い年月により淘汰されてきたのだなぁ。
と、納得してしまう。
筆者のご専門の棘皮動物に絞った章では、
「キャッチ結合組織」という硬化・軟化を瞬時に制御できる、組織が登場する。
これって、バイオミメティクス(生体模倣)の応用って、
すごく期待できるところだと思うんだけど。。
引用
読み進める中で、ポストイットを貼った所を幾つか引用してみます。
p.4
時間は体重の1/4乗に比例するのである。
p.19
ゾウは非常に大きいことにともない一世代の時間が長く、
その結果、突然変異により新しい種を生みだす可能性を犠牲にしている。
なるほど。という感じ。
p.25
p.76
スクリューの効率を悪くしている最大の原因は、回転速度が上がると、
スクリューの先端で気泡が生じてしまうことである。
この現象は「キャビテーション」といい、もちろんwikipediaに詳しいw
要は、スクリューが回ることで、液体の圧力が(飽和水蒸気圧より)下がって蒸発して気泡が出て来る。
この泡によって、スクリューの推進力の効率が落ちる。ということ。
キャビテーション - Wikipedia
p.130
幾何相似と弾性相似
p.191
「キャッチ結合組織」と私が呼んでいるもので、
1993年段階では「キャッチ結合組織」というのは、著者・本川達雄先生によるプライベートな用語のようですが、
2017年では、正式な学術用語なのでしょうか??
ネットで検索すれば幾つか出てきますが。。
ここでいうキャッチ=かけ金という意味。
本文にある、ウニの体表を覆う骨片とキャッチ結合組織。の話は初めて知り驚いた。